腰と背中の間の痛み

人は、日常生活で当たり前の動作ができなくなると、不安を覚え自信をなくすものです。そして、再び当たり前ができるようになると、「自分はまだ大丈夫」という安堵と自信につながるものです。U様(60代女性)は背中と腰の間の痛みが、かなりお辛い状態で来院されました。

・痛い場所は、腰のすぐ上で背骨の周辺

・椅子に座り寄りかかると背中が当たり激痛がする

・荷物を持って歩くとすぐに痛くなる、仰向けでとても眠れない

・3年前から痛く、途中整形外科のリハビリで改善したが、また悪化したのでやめた

・当院のホームページの説明がとても納得できたので行ってみようと思った

椅子に腰かけた状態でお話を伺うのですが、それもあまりできない状態です。痛い箇所が背骨の辺りでもあり、初めは「椎骨の骨折」「関節の炎症」「靭帯の捻挫」なども疑いました。検査のため、うつぶせ寝になっていただき、指先の平で軽く触れるだけで激痛が走ります。

ですが、3年間も骨折や捻挫などを引きづっているというのも考えにくく、一つ考えられる原因を探ることにしました。これが正解ならば劇的に改善できるはずです。それは、強い痛みにより痛感覚が過剰になってしまっていることです。交通事故後にもあるのですが、筋肉の過緊張により脳が痛みを敏感に感じやすくなるケースによく似ています。

<施術内容と施術後>

こういうときは、冷やしても時間の無駄で効果は全くありません。今必要なのは、痛い箇所には一切触れず、脳がリラックスするような施術、関連のある周辺筋肉を緩める施術であり、それが効果的であることが多いです。うつ伏せになって頂き、施術を始め約15分。その間、U様が不快な痛みを感じることもありませんでした。最初に激痛が起きた箇所を軽く触れてみたところ、先ほど感じた激痛は完全に消えていました。やはりそうでした。確信できたので、患部により近い筋肉を緩めたところ、さらに楽になったと感じていただけました。

とはいえ、元々触れるだけで激痛が起きていたくらいです。一回で完全解消させる施術は逆にお体への負担が大きいことを意味しますので、施術をやり過ぎないことがとても重要です。この引き際のタイミングは数多くの経験を経て培ったストロングポイントだと思っております。

施術後、起き上がる時に痛みは残っていますが、座っていただくとU様は楽になったことをさらに実感されたようです。その大きな改善ぶりに大変感動され喜ばれてました。U様は、ご家族の介護のご負担も大きいそうで、めまい、頭痛、肩こり、不眠などのご症状も強かったので、改善して毎日楽に過ごしてくださればと考えております。

3回目来院されたときのお言葉が印象的でした。「今まで椅子に座るとき背中をつけることが、すごく怖かったのですが、それが全くなくなった。」U様のご表情にも心なしか余裕が生まれ笑っていただけるようになりました。椅子に寄りかかるという動作の度に激痛が起きてしまうのは、本当に大変だったと思います。それを、過去形でお話できるようになったことは、施術者にとっても大変喜ばしいことです。