首寝違え

首や肩がつらいからセルフマッサージするという方、多いと思います。

セルフマッサージ自体は別にいいのですが、その手法によっては痛めてしまうことがあるので、ぜひ気を付けてください。

「人工寝違え」とは、寝ているときに起きる自然なものではなく、意図的な指圧による寝違えのことです。

Mさま(60代男性)は2週間前、首のコリが辛かったので、自分の指で首をぐいぐい押していたところ、ビキッと寝違えたような状態になってしまいました。

右後頭部の下辺り(髪の毛の生え際)が痛くなり、首をあまり動かせなくなってしまいました。

かなり強い痛みだったそうですが、少しずつ痛みは和らいでいき、2週間後に当院に来院されました。

ですが、まだ上を向く姿勢(髭剃りする姿勢)が特に痛いとのこと。

「今日はあまりここはほぐさない方がいいんですか?」とご相談受けました。

施術前に拝見し、「炎症がない」「セルフで指で押すくらいでは椎間板や骨を痛めることはない」この2つの理由で施術には特に問題ないと判断しました。

念のため、患部の施術は後回しにし、関連部位から緩めていき、最後に首が反らしやすくなるような施術をうつ伏せと仰向けで行いました。

施術後、腰かけた状態で首を自由に動かしていただくと、

「おっ全然痛くない、楽だ。なんだこんなにすぐに楽になるならもっと早く言えば良かった」

と喜んでいただけました。

そもそも人工寝違えになった理由は何でしょうか。2つあります。

 

1、力比べになってしまったため

本来は体がリラックスした状態でほぐすべきですが、セルフで強く押そうとする姿勢は、腕や指に力が入れば入るほどると同時に首や肩にも力が入ります。

そのため、リラックスとは真逆になり、結果首の筋肉が過緊張してしまいました。

2、指で関節を押しすぎたため頸椎が歪んだため

たまたま一つの頸椎に無理に加圧し続けたことにより、頸椎2番が人工的に歪んでしまいました。

 

今回の施術では、その点をすぐに見極めることができ、短時間で完全にリセットすることができました。

思わぬ形でしばらく痛みと付き合うことになったM様ですが、セルフマッサージは一定の効果もあります。

首は、背中や腰よりも当然ながら細いので、適度な圧でほぐす分には構いませんが、力むほどの圧は避けてください。

また、棒や尖っている道具などで押すと、それこそ骨や椎間板や筋肉を傷つけてしまうこともあるので、避けてください。

道具を使わない方がいい理由はもう一つあります。

そこだけ強い刺激になれ、強い刺激を求めエスカレートする可能性もあるからです。

やはり「部分ほぐし」よりも「体全体ほぐし」て、患部を緩めるのがベストです。

余談になりますが、そもそも寝違えが起きやすい方は、心身の疲労が強く、自律神経が乱れ、睡眠時にリラックスしきれていません。

首や肩のコリ云々よりも、自律神経の乱れている原因にアプローチした方が良いかもしれません。