ご紹介で初めて来院されたO様（60代男性）は、強い体調不良でお困りでした。
最初にお話を伺う時点で、自律神経失調症であることは自覚されていました。
・寝汗がひどく毎晩夜中に汗びっしょりで目覚める（１か月前より）
・不眠症で入眠剤を飲んでも、夜中に２～３回目が覚めてしまう（７年前より）
・不安感やソワソワして、胸が息苦しく感じる
・お腹の調子が悪く、食欲がない（３か月前より）
・肩や背中のコリが強い（ずっと）
これらが主なご症状です。スラスラ箇条書きされていると、読んで次に進んでしまいそうですが、この内一つだけのご症状でも大変しんどい状況です。
漢方も飲んでいるが効かないとのことです。
ご症状が一つ一つ重いですが、こういう時は基本に徹することです。
とにかくお体が緊張され、コリが強いというより全身がこわばっているような印象でした。
O様のお話では、実際一日の中でリラックスされる感覚が全然ないとのことでした。
そこで、症状のある個所ない箇所関係なく、まずは全身しっかりと筋肉を緩め、お体の力を自然と抜いていただけるような施術を行いました。
ところが最初の方は、次回来院された際に状態を伺うと、O様の中で筋疲労は楽になったけど、「寝汗、不眠、食欲は全然変わらない」とのことでした。
そこで、当院の健康講座で取り扱う脳科学のお話を１回の施術で１つずつお話しご理解いただき、意識や感情やイメージやリラックス法や呼吸法など、それを必ず日々実践していただくことにしました。
かなり重いご症状ですし、ここまで悪化するのにジワジワと時間をかけてきたわけです。
改善するのには、それと同じくらいの期間が必要とは思いませんが、ある程度改善するまでに時間がかかることはわかっていました。
とはいえ、O様から見れば、施術を何度も受けているのに効果が感じられないのは苦しい状態です。
ところが、数回来院された頃から、各症状が少しずつ改善されてきたことをO様にようやく実感いただけるようになりました。
患者さまに「改善していること」「良くなったこと」を少しでも実感いただくことが、施術家としてとても大切です。
これは脳科学的にも「まだよくならない」と「あれ？良くなるかも」では全然その後が変わってくるのですね。
O様も少しずつ笑顔を見せていただけるようになり、ますます症状は改善され、一番ひどかった初めて来院されたときの8割解消し、残り２割くらいまでも回復しました。
もちろんまだ改善途中ですし、もっともっと改善の余地があります。
体調が本当に安定してくるのはもう少し先だと、これまでの経験から感じていますが、O様がもっと良いときの自分自身を取り戻せ、自信をもって下さるよう、お力になれたらと思います。
